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「就労継続支援B型事業所」

本当に、希望はあるのか。

 

就労継続支援B型事業所に見学に行ったと先日のブログに書いた。私自身が就労継続支援B型事業所に通うことはしないと決めたけれど、ここ数日、就労継続支援事業所という場所について考えていた。

 

就労継続支援B型事業所でもらえるのは、賃金ではなく、工賃だ。賃金と違って、工賃には最低賃金が適用されない。日給数百円とか、時給100円とかで働き、昼食代や送迎代を事業所に支払ったら、「お金を払って働かせてもらっている」状態になることもあるそうだ。(昼食や送迎代が無料の事業所もあるが、それでも工賃は低い)

 

もし興味を持ったら、手元のスマホで工賃の平均を調べてみてほしい。あまりの低さに驚くから。数字はここには書かないが、到底生活が成り立つような数字ではない。障害年金をもらっていたとしても、この金額で経済的に自立した生活を送るなんて、光合成でもできなければ無理、という具合だ。

 

私は、工賃が欲しくて、就労継続支援B型事業所を利用したかったわけではない。それ以前に、工賃は生活の足しにはならないことをデータから知っていたから、工賃よりも「通う場所」が欲しくて、見学に行った。

 

見学した事業所は、きれいな場所だった。一見すると、ありふれたオフィスのようだった。場所としての雰囲気は悪くない。支援員の方は丁寧に説明してくれた。

 

ただ、行っているのが一般就労につながるような実績を積める業務かと言えば、そうではない。この作業において熟練したからといって、経済的に自立できる仕事があるだろうか。いや、ない。

 

支援者の方が懸命にやってくれていることがよくわかる見学だった。でも、支援者の方がどれほど懸命でも、真心こめてくれていても、人は、就労継続支援B型事業所の工賃では生活できないのだ。

 

これが何を意味するのか。自立した生活を送れるだけのお金を手にできないことは、親元から自立できない可能性を高める。親が障害に無理解であったり、虐待をしていたりしても、自分の稼いだお金が少ないから、自立して逃げ出すという選択肢が狭まってしまう。そして、もちろん、親なき後の不安もついて回る。どんな親の元であっても、自立して生きていけるだけのお金が障害者の手元にないことに、何一ついいことはない。

 

利用者それぞれの適性に合わせた業務を作り、いい商品を作ることで、利益を生み、工賃を上げている事業所も存在することは知っている。だが、すべての事業所ではない。それが、工賃の平均に表れている。

 

本当に、おかしいと思う。1時間パンを作る仕事に従事したなら、最低賃金以上は支払われるべきだ。障害者が作ったか、そうでない人が作ったかで、賃金が変わるのは、おかしい。

 

利益を生み出せていないのに工賃を上げてくれというのではない。工賃を上げられるだけの利益を出せる構造を作るなどの支援をして、利益を生み出せる構造を作っていく必要がある。そして、当たり前だけど、最低賃金を保障しないなんてことが、法律の例外として許される現状は、改善するべきだ。