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楽においしいものを食べたい。

ていねいな暮らしは私には無理だと思う。やろうとしてみたこともある。疲れて、続かなかったのだ。

 

一人暮らし経験もそれなりにあるけど、冷蔵庫のなかには、ヨーグルトにゼリー、冷凍庫にはアイスとトップバリュのおかずセットとそんな具合で、野菜やお肉を買うことなんて、たまにしかなかった。そのたまに買った野菜ですらも腐らせてしまったり、腐らせまいと冷凍したら味が悲惨なことになってしまったりと、ろくな運命を辿らない。

 

多忙な日々を送る知人が、「お惣菜なんてもう全然食べてない。自炊している」と言うのを聞いて、正気を疑った。スーパーのお惣菜なしに、生きることなんてできない。母の手料理よりは落ちるけれど、自分の手料理よりは断然おいしいお惣菜から、離れられずにいる。

 

でも、現実問題として、お惣菜って、高いのだ。作る人の人件費も込みのお値段だしね。だからといって、自炊もできない。

 

というのも、私は料理をすると、異常に疲れるのだ。家庭科の調理実習で調理をすることはできる。視力0.1でも、案外できるのだ。

 

しかし、それを日常生活に持ってくることができるか、と言えば違う。メニューの決定、食材のカットに疲れ果ててしまい、疲れて最低1時間は休憩する必要がある。夕食だけの自炊にしても、1時間、もしくはそれ以上の休憩を必要とするのなら、日常生活は回せなくなる。

 

24時間のなかで入浴もその他の家事も、仕事も、趣味もやらねばならないし、やりたい。だから、一旦自炊を諦めて、先月の日記で自炊を決意して、光の速さで自炊を投げ捨てて、でもやっぱり、やるしかないかあ、となっている。

 

正直に言おう。自炊なんか一生したくない。包丁なんか触りたくもない。

料理するの楽しいって思うのはたまにするからであって、毎日したらつらい。

 

でも、私が一番お金をかけたいのは本だ。食費は削れる限り削りたい。となると、やっぱり自炊なのだ。

 

とはいえ、やりたくないものはやりたくない。やりたくないとジタバタしても、作ってくれる人が現れるわけではない。そこで考えたのが、私のハードルである、メニューの決定と材料のカットを避けた自炊、である。

 

正直無理じゃないかと思った。でもそんなことを知人友人に言って回っていたら、「包丁を使わない料理本があるよ」と最高の情報をもらった。

 

それならできる。その本に載っている食事をローテーションすれば、メニューの決定も簡単だ。

カット野菜やお肉を買ってきて、その本の通りに料理する。

 

そんな自炊を、してみよう。